今回は、少し地味なテーマになるかもしれませんが、ニュージーランドの街並みの中で不思議に感じたものを紹介していこうと思います。
観光情報かと言われると、まったく役には立たないのですが、現地に住んでいる人も知らないような、すごくコアな情報を調べていくうちに、ニュージーランドの経済的なことや財政、インフラ、歴史などが数字ではなく、実際の生の情報として実感できたので、これからニュージーランドに移住したいとか、ニュージーランドの空気感を知りたいと思っている方にとっては、有益な情報になっているのではないかと思っています。
よかったら、ご覧ください。
ニュージーランドの道路事情
私がニュージーランドに来て、驚いたことの一つに道路事情があります。最初は、高速道路的な道路が無料で通行できることが驚きでした。そして、日本でどうだったかパッと思い浮かびませんが、ニュージーランドの道路の路肩に排水溝がないことに気づきました。
実際は、このような形で、地面の下に通路があるのですが、地表はただの溝になっているだけというシンプルなものでした。
ニュージーランドの気候が関係しているのかもしれません。
ニュージーランドの国道総延長距離は10,463kmで
ちなみに、日本の道路総延長距離は平成31年3月で1,281,072kmとなっています。
ニュージーランドの国道は自然の地形を大きく変えることはなく、建設されています。
道路整備は利便と費用のバランスを考慮しているそうで、限られた予算の中で便益と費用の比率が大きいところから新規の建設を計画するとのことでした。
また、道路の岩盤ののり面は、けっこうむき出しなところがあり、高速道路を走っていると、たまに崩れているところもあります。
【北島と南島】 異なる道路の色
マニアックな情報になるのですが、NZ TRANSPORT AGENCYによると、NZは北島と南島で道路の色が異なるようです。
理由について紹介していきます。
路面塗装について
まず、路面塗装について
ニュージーランドで最も一般的な塗装タイプはチップシールだそうです。理由は、経済的で、柔軟性、耐久性に優れ、費用対効果が高いからだそうです。
チップシールとはスプレーされたホットビチューメン(またはコールドビチューメン)エマルジョンでできていて、そこに「チップ」という細石が表面に含まれているそうです。
(素人が調べたので、間違っていたらごめんなさい)
都市部ではアスファルトコンクリートを使用しているそうですが、交通量の少ない道路(主要な都市部以外の道路)ではチップシールを使用しているとのことでした。
そして、色の違いはこのチップによって生み出されます。
チップの材料について
チップシールの「チップ」とは小さく鋭いエッジの岩のことだそうです。
北島では主に採石場から供給されるのに対し、南島では川から採集するとのことでした。
南島では、南アルプスから流れてくる川の石には、石英が多く含まれています。それに対して、北島のチップシールには、安山岩や玄武岩などのより純粋な火山性物質が多く含まれています。
これにより、
北島の道路は南島の道路より暗い色になっているとのことでした。
ここまで、みなさんついていただけているでしょうか。
ここから更にマニアックな情報になっていきます。
ニュージーランドの電柱事情
続いてはニュージーランドの電柱についてです。
私がニュージーランドの電柱に興味を持ったのは、電柱が木製で歪な形をしていて、日本ではちょっと大丈夫かなぁと心配になるレベルの見た目だったからです。
その理由について探ってみました。
ここにニュージーランドの電柱に関してNZのクライストチャーチにあるカンタベリー大学からでている、めちゃくちゃ面白い論文があったので、以下を参考にさせていただきました。https://nzdfi.org.nz/wp-content/uploads/2016/12/Tan-BK_-A-Study-on-the-Usage-of-Wooden-Poles-and-Crossarms-in-the-New-Zealand-Electricity-Network-Industry.pdf
この論文は、2009年に発表された論文で、今後の電柱業界においてどのような材質の需要が期待されるか研究したものでした。
まず、ニュージーランドには約138万本の電柱があると推定されています。(日本には約3500万本)
私の家の周りには木製のポールが数多く立っているのですが、
1年間で設置されるポールの種類は
コンクリートポール 63%
針葉樹 21%
広葉樹 14%
鋼 0.21%
その他 1.61%
となっており、
意外と新しく設置されている電柱はコンクリート製が多いとのことでした。
また、木製ポールの大部分は南島で使用されているらしく(年間木製ポール中の81%)、理由としては南島の積雪地域での動的負荷に耐える木の能力によるものだそうです。
ニュージーランドの電柱の歴史
ニュージーランドの電柱設置初期の頃は、木製が多く使われていたようですが、徐々にコンクリート製が主流となってきたそうです。
これは、長期的な経済性と基本的な工学的特性の両面の観点から、鉄鋼製の方が木製のポールよりも好ましいとされているからだそうです。
しかし、木製ポールを使用する理由として、木製のポールは他と比べて、最初の設置コストが安いとされていたり、積雪がある環境、厳しい環境での設置が求められる地域があるため、木製を使用しているとのこと。
厳しい環境での設置とは
電柱は、設置が困難な地形に輸送する際に、ヘリコプターでの輸送をしています。その場合、重いコンクリートよりも軽量な針葉樹の方が輸送コスト的にはいいとのことでした。
ただ、針葉樹製は経年劣化によりねじれが生じるため、あまり製品としてはよくないとのことでした。
ここまでで感じることは、
ニュージーランドの電柱業界も経済面と安全性、環境や効率性を総合的に判断して、よりよいプロダクトを生産しているということです。
また、電柱に使われる広葉樹はすべてオーストラリアから輸入されているのに対して、針葉樹はすべて南島のネルソンから供給されているようで、これももしかしたら歪な形をしている電柱が多い理由につながっているかもしれません。
最後に
私は、ニュージーランドに来た当初、日本との違いに愕然とすることが多々ありました。しかし、今回ニュージーランドの日常風景を読み解くことにより、なんとなく今まで感じていたもどかしさやもやもやが少しずつ整理できてきました。
確かに、インフラは整っているかと言われれば、日本と比べると物足りない部分がたくさんあります。しかし、この少ない予算の中で、少ない時間と人口の中で、これほどまでに豊かな生活を送れる環境が整えられていることにすごいなと感じました。
見下したり、蔑んでいるとかではなく、すごく効率的で、現実的な手段がとられていて、今ある現状で最大限の価値を生み出すということの結果、今のニュージーランドがあるんだなと感じました。
また、自分もこれからニュージーランドで働く上で、ニュージーランドに貢献できる働き方をしていきたいと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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